近年では、住宅のバリアフリー化に対する需要が年々高まっています。これは言うまでもなくわが国における高齢化の進展に伴うもので、年齢を重ねるにつれて体力が衰えてきた人でも安心して暮らせるよう、住環境を整備する必要が生じてきたためです。このバリアフリー化は、これまでは所有者が自宅を改修することによって実現するというのが一般的でしたが、ここに来て賃貸住宅を対象としたリフォーム工事の例も増えてきました。社会全体の高齢化によって賃貸生活者の平均年齢もまた高くなってきており、結果として高齢者でも暮らしやすいアパートやマンションなどのニーズに応える必要が出てきているというのが、こうした傾向の背景にあります。
バリアフリー化された賃貸物件は、特に東京のような都市部に多く見られます。東京は多くの居住人口を抱え、不動産相場も高水準にあるためただでさえ賃貸生活者の多い地域ですが、それに加えて医療機関や福祉サービス事業者の数も多いため、高齢でも暮らしやすいという特性を持っています。そのため、安心してシニアライフを送れるような物件のニーズが東京では非常に多く存在します。こうしたことから、賃貸住宅のオーナーも自らの所有物件にリフォームを施し、バリアフリー仕様とする例が目立つようになってきています。
これは入居者に対するサービスの向上につながるばかりでなく、バリアフリーという付加価値によって入居者を獲得しやすくするという意向もはたらいているものと考えられます。